■
ふと地元を離れてから5ヶ月経ったんだなと気づいた。
地元での私の生活は20歳を過ぎてから酒に溺れるようになっていった。仕事場での自分の居場所、家に帰ってからの孤独、些細な言葉が頭の中にぐるぐると回り、逃げたい。忘れたい。記憶を消したい。そんな事を常に考えてた。
相談相手が欲しかったけど、私が感じる悩みなんて誰しもが持っているもので、そんな誰しもがニコニコと笑顔で笑い、強く生きているという現実を考えると、人に悩みを言うのは恥知らず、弱さだと感じてしまっていた。そして一人で解決しようとただひたすら毎日お酒を飲んだ。
「忘れたいならこれが一番、手が動かなくなるまで飲めよ」と、幻聴まで聞こえた。
そして、家のトイレで1人吐いていた。
私が次の日まで酔っているという事は珍しいことではない。会社で初めて褒められたのも酔っている日だった。もう、シラフの自分が嫌いになった。
そんな日が1年を過ぎ何かが変わった。
目には見えない恐ろしさだった。
朝、目を覚ますと、体の一部がズキズキと痛く、その部分を見ると、無数の傷があり、血が瘡蓋になっていた。
昨日の夜の事を思い出そうとしても、病んでいる。などの記憶は無かった。
それからもたまに朝起きたら傷があった。もちろん自分でしたのだろう。だが酔って楽しく音楽を聴いていた。という記憶しかない。
とても怖くなった。
知らないうちに自分が死んでしまうんじゃないかと思った。
家を出ようと思った。
私はこの場所から離れないといけない思った。
引っ越してから5ヶ月経ったんだな、と気づき、あの時の自分を懐かしく感じた。
そして今日も酒を飲む。